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  三国志(213) 張飛 吼える     
2024-04-17 01:14:03


 曹操は景山を降りた。
 旗や馬幟の激流は、雲が谿間を出るように、銅鑼金鼓に脚を早め、たちまち野へ展がった。
 そのほか。
 曹仁、李典、夏侯惇、楽進、張遼、許?、――などの陣々騎歩もすべてその方向を一にして、長坂坡へ迫って来た。
 「 趙雲の逃げて行った方角こそ、すなわち玄徳のいる所にちがいない」と、それに向って、最後の殲滅を加え、存分な戦果を捕捉すべく、ここに全軍の力点が集中されたものらしい。
 すると彼方から文聘とその手勢が、さんざんな態になって逃げ乱れてきた。仔細を問うと、
 「長坂橋の畔まで、趙雲を追いかけて行ったところ、敵の張飛という者が、ただ一騎で加勢に駆けつけ、丈八の蛇矛をもって、八面六臂にふせぎ立て、ついに趙雲をとり逃がしたばかりか、味方の勢もかくの如き有様――」
 と、いう文聘の話に、許?、楽進などみな歯がみをして、
 「さりとは腑がいなき味方の弱腰。いかに張飛に天魔鬼神の勇があろうと、この大軍と丞相の威光を負いながら、追い崩されて帰るとは何事だ。いで、われこそ彼奴を――」
 と、諸将は争って、橋のこなたまで殺到した。
 そこの一橋こそ、河をへだてた敗敵にとっては、恃みの一線である。いかにここを防がんかと、さだめしひしめき合っているであろうと予想してきてみると――こは抑いかに、楊柳は風もなく垂れ、水は淙々と奏で、陽ざしもいとうららかな長橋の上に、ただ一騎の人影が、ぽつねんと、そこを守っているきりだった。
 「……はてな?」
 疑いながら、諸将は駒脚をなだめて、徐々と橋口へ近づいて行った。――見れば、丈八の矛を横たえ、?を脱いで鞍にかけ、馬足をしっかと踏み揃えた大武者が、物もいわず、動きもせず、くわっと、睨みつけていた。

 「あっ、張飛だ」
 「張飛」
 思わず口々をもれる声に――馬は怖れをなしたか、たじたじと、蹄を立てて後ろへ退がった。
 「…………」
 張飛はなお一語も発しない。双の眼は百錬の鏡というもおろかである。怒れる鬼髯は左右にわかれ、歯は大きな唇を噛み、眉、眦、髪のさき、すべて逆しまに立って、天も衝かん形相である。
 「あれか、燕人張飛とは」
 「知れたもの。いかに張飛であろうと」
 「敵は一騎だ」
 「それっ」
 と、諸将は互いに励ましあって、あわやどっと、その馬蹄を踏み揃えて橋板へかかろうとしたとき、
 「待てっ」と、うしろで止めた者がある。一人の声ではない。李典、曹仁、夏侯惇など、ことごとく軍勢の中にもまれて、その中に雄姿を見せていた。
 「丞相のご命令だ。待てっ。はやまるなっ――」
 続いて後ろのほうに聞える。諸将はさっと橋畔の左右へ道を開いた。どうどうと押し流れてくる軍馬も旗もみな橋口をあまして河の岸を埋めた。
 やがて、中央の一軍団は林のような旄旗と五彩幡をすすめてきた。中にも白旄黄鉞の燦々たる親衛兵にかこまれている白馬金鞍の大将こそ、すなわち曹操その人であろう、青羅の傘蓋は珠玉の冠のうえに高々と揺らいで、威風天地の色を奪うばかりだった。
 「うかと、孔明の計にのるな、橋上の匹夫は敵の囮だ。対岸の林には兵がかくしてあるぞ」
 と、曹操はまず、はやりたつ諸将を制してから、くわっと、張飛をねめつけた。
 張飛は動じる態もなかった。
 かえって、全身に焔々の闘志を燃やし、炬の如き眼を爛と射向けて、
 「それへ来たものは、敵の総帥たる曹操ではないか。われこそは、劉皇叔の義弟、燕人張飛である。すみやかに寄って、いさぎよく勝負を決しろ」
 と、呼ばわった。
 声は長坂の水に谺し、殺気は落ちかかる雷のようであった。そのすさまじさに、曹操の周囲を守っていた者どもは、思わず傘蓋を取り落したり、白旄黄鉞などの儀容を崩して、あッとふるえおののいた。
 いや、その雷圧は、曹軍数万の上にも見られた。濤のような恐怖のうねりが動いたあと全軍ことごとく色を失ったかのようであった。

 さわぎ立つ諸将をかえりみながら曹操は云った。                                「今思い出した。そのむかし関羽がわれにいった言葉を。――自分の義弟に張飛というものがある。
張飛にくらべれば自分の如きはいうにたらん。彼がひとたび怒って百万の軍中に駆け入るときは、大将の首を取ることも嚢の中の物をさぐって取り出すようなものだ――予にそういったことがある。さだめし汝らも張飛の名は聞いていたろう。いや怖ろしい猛者ではある!」
 そういって、驚嘆している傍らから、突然、夏侯覇という一大将が、「何をばさように恐れ給うか。曹軍の麾下にも張飛以上の者あることを、今ぞ確とご覧あれ」
 と喚きながら、馬の蹄をあげて、だだだだっと、橋板を踏み鳴らして、張飛のそばへ迫りかけた。張飛はくわっと口をあいて、
  「孺子っ。来たかっ」
 蛇矛横にふるって一颯の雷光を宙にえがいた。
 夏侯覇は、とたんに胆魂を消しとばして、馬上からころげ落ちた。その有様を見ると、数十万の兵はなお動揺した。曹操も士気の乱れを察し、にわかに諸軍へ、
  「退けっ」
 と、令して引っ返した。                                                   

 退け――と聞くや軍兵はみな山の崩れるように先を争い合った。ふしぎな心理がいやが上にも味方同士を混乱に突きおとしてゆく。誰の背後にも張飛の形相が追い駆けてくるような気がしていた。鉾を捨て、鎗を投げ、或いは馬に踏みつぶされ、阿鼻叫喚が阿鼻叫喚を作ってゆく。
 そうなると、実際、収拾はつかないものとみえる。曹操自身すら、その渦中に巻きこまれ、馬は狂いに狂うし、冠の釵は飛ばすし、髪はみだれ、旗下どもは後先になり、いやもうさんざんな態であった。 ようやく、追いついてきた張遼が、彼の馬の口輪をつかみ止めて、
  「これは一体、どうしたということです。たかがただ一人の敵にこれほどまで、狼狽なさる必要はありますまいに」と、歯がみをしながらいった。

 曹操は初めて、夢のさめたような顔して、全軍の立て直しを命じた。そしてやや間が悪そうに、
 「予が怖れたのは決して一人の張飛ではない。橋の彼方の林中に敵の埋兵がたえず騒めいていたので、
また何か孔明が策を設けているのではないかと、きょうは大事を取って退却を命じたまでだ」
と、いった。  その時、彼のてれ隠しを救うにちょうどよい煙が揚った。敵は長坂橋を焼き払って退いたというのである。そう聞くと曹操は、
 「橋を焼いて逃げるようでは、やはり大した兵力は残っていないに相違ない。しまった、すぐ三ヵ所に橋を架け、玄徳を追いつめろ」と、号令をあらためた。
 玄徳主従とその残兵は、初め江陵へさして落ちてきたのであるが、こんな事情でその方角へは到底出られなくなったので、にわかに道を変更してから、漢津へ出ようと、夜も昼も逃げ続けていた。(213話)
 

―次週へ続く―

 

 


 
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