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  三国志(200) 臨戦(りんせん)     
2024-01-17 01:31:03


 孔明は、ねんごろに話した。
 「むかし、春秋の時代に晋の献公(けんこう)の夫人には、二人の子があった。

 兄を申生 (しんせい)といい、弟を重耳(ちょうじ)という」
 例話をひいて、劉?に教えるのである。劉?は、全身を耳にして熱心に聞いていた。
 「――ところが、やがて献公の第二夫人の驪姫(りき)にもひとりの子が生れた。驪姫はその子に国を継がせたく思い、つねに正室の子の申生や重耳を悪くいっていた。けれど献公が見るに、正室の子はいずれも秀才なので、驪姫が讒言(ざんげん)しても、それを廃嫡(はいちゃく)する気にはなれずにいた……」
 「その申生は、さながら、私のいまの境遇とよく似ております」  
 「――で、驪姫は、春あたたかな一日、献公を楼上に迎えて、簾のうちから春園の景をうかがわせ、自分はひそかに、襟に蜜を塗って申生を園に誘いだしたものです。――すると、多くの蜂が当然、甘い蜜の香をかいで、驪姫の髪や襟元へむらがってきました。……あなやと、なにも知らない申生は驪姫の身をかばいながらその襟を打ったり背を払ったりしました。楼上から見ていた献公はそれを眺めて、怖しく憤(いきどお)りました。驪姫にたわむれたものと疑ったのです。――以来申生を憎むことふかく、年々に子を邪推するようになりました」
 「ああ。……蔡夫人もそんな風です。いつかしら、理由なく、私も父の劉表にはうとんじられておりまする」
 「一策が成功すると、驪姫の悪は勇気づいて、また一つの悪策をたくらみました。先后(せんこう)の祭のときです。驪姫はそっと供え物に、毒を秘めておいて、後、申生にいうには母上のお供え物を、そのまま厨房にさげてはもったいない。父君におすすめなさいと。申生は驪姫にいわるるまま父の献公へそれをすすめた。ところへ驪姫が入ってきて、外からきた食物を試みず召上がってはいけません――そういって一箇を犬へ投げ与えた。犬は立ちどころに血を吐いて死んだ。献公はうまうま驪姫の手にのって申生を殺してしまわれた」
 「ああ、そして弟の重耳(ちょうじ)のほうは、どうしましたか」
 「次には、わが身へくる禍いと重耳は未然に知りましたから、他国へ走って、身をかくしました。そして十九年後、初めて世に出た晋(しん)の文公は――すなわちそのむかしの重耳であったのです。……今、荊州の東南、江夏の地は、呉のために黄祖が討たれてから後守る人もなく打捨ててあります。ご世子、あなたが、継母の禍いをのがれたいと思し召すなら、父君に乞うて、そこの守りへ望んで行くべきです。重耳が国を出て身の難をのがれたのと同じ結果を得られましょう」

 「先生。ありがとう存じます。 にわかになお、生きてゆかれる気がしてきました」
 彼は、幾度も拝謝して、手を鳴らして家臣を呼び、降り口に梯子をかけさせて、孔明を送り出した。
 孔明は立ち帰って、このことを、ありのままに、玄徳に告げると、玄徳も、
 「それは良計であった」と、共に歓んでいた。
 間もなくまた、荊州から迎えの使いが来た。玄徳が登城してみると、劉表はこう相談を向けた。
 「嫡男の が、なにを思い出したか、急に、江夏の守りにやってくれと申すのじゃ、どういうものであろうか」
 「至極、結構ではありませんか、お膝もとを離れて、遠くへ行くことは、よいご修行にもなりましょうし、また、江夏は呉との境でもあり、重要な地ですから、どなたかご近親をひとり置かれることは、荊州全体の士気にもよいことと思われます」
 「そうかなあ」
 「総じて、東南の防ぎは、公(きみ)と御嫡子とで、お計りください。不肖劉備は、西北の防ぎに当りますから」
 「……むむ。聞けば近ごろ、曹操も玄武池(げんぶち)に兵船を造って、舟手の教練に怠りないという噂じゃ。いずれ南征の野心であろう。切にご辺の精励をたのむぞ」
「どうか、ご安心下さい」玄徳は新野へ帰った。
  
この当時である。曹操は大いに職制改革をやっていた。つねに内政の清新をはかり、有能な人物はどしどし登用して、閣僚の強化につとめ、
(事あれば、いつでも)という、いわゆる臨戦態勢をととのえていた。
 毛?(もうかい)が東曹掾(とうそうのえん)に任じられ、崔(さいえん)が西曹掾(せいそうのえん)に挙げられたのもこの頃である。わけて出色な人事と評されたのは、主簿(しゅぼ)司馬朗(しばろう)の弟で、河内温(かだいうん)の人、司馬懿(しばい)、字を仲達(ちゅうたつ)というものが、文学掾(ぶんがくのえん)として、登用されたことだった。
 その司馬仲達(しばちゅうたつ)は、もっぱら文教方面や選挙の吏務にあったので文官の中には、異色を認められていたが、軍政方面には、まだ才略の聞えもなかった。
 やはり軍部に重きをなしているのは依然、夏侯惇、曹仁、曹洪などであった。
 一日、南方の形勢について、軍議のあった時、その夏侯惇は、進んでこう献議した。
 「いま劉玄徳は、新野にあって、孔明を師となし、しきりに兵馬を調練しておるとか、捨ておいては後日の大患。まず、この邪魔石を取りのぞいて、しかる後、次の大計にのぞむのが順序でしょう」
 諸大将のうちには、異論を抱くらしい顔色も見えたが、曹操がすぐ、
 「その儀、よろしかろう」といったので、即座に、玄徳討伐のことは、決定を見てしまった。
 すなわち、夏侯惇を総軍の都督とし、于禁(うきん)、李典(りてん)を副将とした十万の軍団は編制され、吉日をえらんで発向することとなった。
 その間に、荀?(じゅんいく)は、二度ばかり曹操の前で、異論を立てた。
「――聞説(きくならく)、孔明というものは、尋常一様な軍師ではないようです。かたがた、いま軽々しく、玄徳に当ることは、勝っても、利は少なく、敗れれば、中央の威厳を陥し、失うところが大きいでしょう。よくよくここはお考えあっては如何ですか」
 夏侯惇は、そばで笑った。
 「玄徳、孔明など、いずれも定まった領地もない野鼠(やそ)の輩(ともがら)でしかない。そのお説はあまりに取越し苦労すぎる」

 「いやいや、将軍、決して玄徳は侮(あなど)れませんぞ」
 「おお、徐庶か――」と、曹操は彼の存在を見出して急にたずねた。
 「新たに、玄徳の軍師となった孔明とは、そも、どんな人物か」
 「諸葛亮(しょかつりょう)、字は孔明、また道号を臥龍先生と称して、上(かみ)は天文に通じ、下(しも)は地理民情をよくさとり、六韜(りくとう)をそらんじ、三略を胸にたたみ、神算鬼謀(しんさんきぼう)、実に、世のつねの学徒や兵家ではありません」
 「其方と較べれば……?」
 「それがしなどは、較べものになりません。それがしを蛍とすれば孔明は月のようなものでしょう」
 「それほどか」
 「いかで彼に及びましょう」
と、夏侯惇は、徐庶のことばを叱って、さらに、大言した。
 「孔明も人間は人間であろう。そう大きな違いがあってたまるものではない。総じて、凡人と非凡人との差も、紙一重というくらいなものだ。この夏侯惇の眼から見れば若輩孔明のごときは、芥(あくた)にひとしい。第一、あの黄口児(こうこうじ)はまだ実戦の体験すら持たないではないか。もしこの一陣で、彼を生捕ってこなかったら、夏侯惇はこの首を自ら丞相の台下に献じる」
 曹操は、彼のことばを壮なりとして、欣然、出陣の日は、自身、府門に馬を立てて、十万の将士を見送った。
 一方。新野(しんや)の内部には、孔明がそこに迎えられてきてから、ちょっと、おもしろくない空気が醸(かも)されていた。
 「若輩の孔明を、譜代の臣の上席にすえ、それに師礼をとらるるのみか、主君には、彼と起居を共にし、寝ては牀(しょう)を同じゅうして睦み、起きては卓を一つにして箸を取っておるなど、ご寵用(ちょうよう)も度が過ぎる」という一般の嫉視(しっし)であった。
 関羽、張飛の二人も、心のうちで喜ばないふうが、顔にも見えていたし、或る時は、玄徳へ向って、無遠慮にその不平を鳴らしたこともある。
「いったいあの孔明に、どれほどな才があるのですか。家兄(このかみ)には少し人に惚れこみ過ぎる癖がありはしませんか」
 「否、否」        
 玄徳は、ふっくらと笑いをふくんで、
 「わしが、孔明を得たことは、魚が水を得たようなものだ」と、いった。
 張飛は、不快きわまる如き顔をして、その後は、孔明のすがたを見かけると、
 「水が来た。水が流れてゆく」
 などと嘲(あざけ)った。
 誠に、孔明は水の如くであった。城中にいても、いるのかいないのか分らない、常に物静かである。


 或る時、彼はふと、玄徳の結髪を見て、その静かな眉をひそめ、
 「何ですか、それは」と、訊ねた。
 玄徳には一種の容態を飾(つく)る好みがあるらしい。よく珍しい物で帽(ぼう)を結い、珠をかざる癖があるので、それをとがめたらしいのである。
 「これか。……これは犁牛(りぎゅう)の尾だよ。たいへん珍しい物だそうだ。襄陽(じょうよう)のさる富豪から贈ってよこしたので、帽にして結わせてみた。おかしいかな」
 「よくお似合いになります。――が、悲しいではありませんか」
 「なぜ」
 「婦女子の如く、容姿の好みを遊ばして、それがなんとなりますか。君には大志がないしるしです」
 孔明がやや色をなしてそう詰問(なじ)ると、玄徳はいきなり犁牛(りぎゅう)の帽をなげうって、
 「なんで、本心でこんな真似をしよう。一時の憂(う)さを忘れるために過ぎぬ」と、彼も顔容を正した。
 孔明は、なおいった。
 「君と劉表とを比べてみたらどうでしょう?」
 「自分は劉表に及ばない」
 「曹操と比べては」
 「及ばぬことさらに遠い」
 「すでに、わが君には、この二人にも及ばないのに、ここに抱えている兵力はわずか数千に過ぎますまい。もし曹操が、明日にでも攻めてきたら、何をもって防ぎますか」
 「……それ故に、わしは常に憂いておる」
 「憂いは単なる憂いにとどめていてはなにもなりません。実策を講じなければ」
 「乞う、善策を示したまえ」
 「明日から、かかりましょう」 (200話)

                                              ― 次週に続く ―

 

 

 

 

 

 

 


 
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