ちょっと前に中国の「恋人の日」について紹介したので、今回はその対義語(?)である「独身の日」を紹介したいと思います。
この日のことは近年、日本のネットニュースでもよく載っているのでご存知の方も多いと思いますが、中国で「独身の日」と呼ばれているのは新暦の11月11日です。
正式名称は「光棍節(グアングンジェ)」なのですが、一般には、11月11日は11が2つだということで、「双十一(シュアンシーイー)」と呼ばれることも多いです。
「光棍」という単語がなぜか「独身者」という意味なのですが、「棍」という単語は元々「木の棒」という意味で、「1111」が木の棒が4本あるように見えることから、この日を独身の日にしたそうです。
尚、ここで言う「独身」は「独身を謳歌している」というような楽しい意味ではなく、「独り者で寂しい」というネガティブな意味なので、厳密には結婚相手も恋人もいない人だけを指すのだろうと思います。
恋人のいない男子大学生たちが、この日に集まって飲み会を開いたことが光棍節の起源だと言われています。
しかし、現代ではこの日は全く別の意味を持っています。
2009年のこの日に、アリババ傘下のECサイトである淘宝(タオバオ)が安売りセールを実施しました。多分、結婚相手も恋人もいなくて寂しいから買い物をして発散しようというような趣旨だったのだろうと思います。
この淘宝のセールを他のECサイトやリアルの店舗も真似るようになり、いつの頃からか11月11日は安売りセールの日としてすっかり定着しました。
下の画像は淘宝の兄弟サイトである天猫によるイベントのものです。
2015年の11月11日には912億元(約1.5兆円)もの売上高があったのですね(数字はあくまで主催者発表値です)。
言うまでもなく、もはや「独身」という趣旨は何の関係もなくなっており、既婚者だろうが恋人がいようが、みんなが買い物をする日になりました。
たまたまこの日にショッピングセンターなどに行ってしまうと、店舗が大混雑しており、入場制限が敷かれる場合もあるので要注意です。
ところで、11月11日という日付は語呂がいいので、日本でも企業や業界団体によっていくつかの記念日となっています。
一般消費者に身近なところでは、グリコがこの日を「ポッキー・プリッツの日」と称しています。
グリコは無謀にも(?)かつて、中国にも「ポッキー・プリッツの日」を浸透させようとして、スーパーのお菓子売り場に「11月11日はポッキー・プリッツの日」というポスターを貼ったりしていました。
しかし、残念ながら双十一の勢いに押されてしまい、中国人がこの日を「ポッキー・プリッツの日」と認知するようには殆どなっていないようです。
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