今日は蘇州の僕のアパートのドアについて紹介したいと思います。
建物そのものに入る為の一階の扉ではなく、僕が住む902号室のドアです。
数人の中国人に聞いてみたところ、みんな同じタイプのドアだそうですので、中国では一般的なスタイルなのだろうと思います。
まず、こちらの写真が家の中から見たところです。
材質が木材なのは日本ではあまり見かけませんが、ドアの構造そのものは日本と同じ。
ドアノブを下に向けてひねることによって、ドアと壁を固定しているラッチと呼ばれる金属の棒が引っ込み、そのままドアを押せば開くという方式です。
ここまでは面白くも何ともありません。
一方、家の外側(共用廊下)から見たところがこちら。
ドアノブの近辺にやたらとシールが貼っていることを除けば、見た目は内側から見た時と同じです。
ところが、構造的には大きな違いがあるのです。
外側のドアノブは下方にひねることができません。
ドアに対して完全に固定されているのです。
では、どうやってドアを開ければいいのでしょうか?
答えは「鍵を使う」です。
「え?鍵は開錠するところまでで、ドアを開けるのはドアノブの役目じゃないの?」と思うことでしょうが、中国ではドアを外から開ける場合に限り、両方とも鍵の役割なのです。
鍵を鍵穴に指して左右どちらかに回すと開錠されるというところまでは、中国も日本と同じです。
ところが中国では、鍵を左右どちらかに回して開錠されたら、さらに同じ方向に回すのです。
すると、ドアノブをひねった時と同じ現象が発生します。
ラッチと呼ばれる金属の棒が引っ込むのです。
そしたら、そのまま鍵を引っ張ると、鍵ごとドアがこちらに向かって開くのです。
自分の体が入るくらいまでドアが開いたら、鍵を逆側にひねって鍵穴から引っこ抜きます。
ドアノブを回すのではなく、開錠後にさらに鍵を回すのが、中国での外側からのドアの開け方なのです。
多分これは防犯が目的で、鍵を持たない人は外から屋内に入れないようにしているのだろうと思います。
よくホテルとかで、ドアを閉めたら自動的にロックされて、鍵がないと中に入れないという仕組みがありますよね。
中国のアパートのドアは、それと同じことを電気仕掛けなしでやろうという趣旨なのでしょう。
さて、この方式は空き巣被害を減らすには確かに有効なのですが、住人が鍵を持たずに外に出てしまい、家に入れなくなるというトラブルをしばしば招きます。
僕自身は幸いにして一度もこれを経験したことがありませんが、中国人の知人がこういう目に遭ったのを複数件知っています。
面白いのは、このトラブルを見越したビジネスがちゃんと存在することです。
先ほどの写真をもう一度見て下さい。
ドアノブの周囲にシールが何枚か貼ってありますね。
拡大図がこちらです。
(先ほどの写真とは違う日に撮ったので、少しシールが違いますが)
これらのシールは鍵屋さんの宣伝です。
どのシールにも「????」と書かれています。
「??」は「開錠する」という意味、「??」は「錠を交換する」という意味です。
僕はこのサービスを利用したことがないのではっきりとは知らないのですが、多分開錠の際には錠を壊してしまうので、交換を伴うのだろうと思います。
というわけで、万一、鍵を持たずに外に出てしまい、家のドアを開けることができなくなったら、このシールに書いてある電話番号に電話すればいいわけです。
但し、借家の場合には勝手に鍵を交換するわけにはいかないので、まずは大家さんに連絡です。
大家さんが近隣に住んでいる場合には、大家さんの家までスペアキーを取りに行くという対応をする場合もあります。
それにしても、こういう宣伝を他人の家のドアにシールでベタベタと貼っちゃうという発想は、すごいですね〜。
ドアにシールで貼ると言えば、似たような発想として、電気代などの督促状もドアに貼り付けちゃいます。
この写真は僕の隣の家のドアに貼ってあったものです(住所・氏名の欄は伏字にしました)。
「5月分の電気代79元(約1,300円)を払ってください」と書いてあります。
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