今日は地下鉄4号線の北寺搭(バイスータ)の紹介です。
前回紹介した孫武記念園から3つ南に行くと、蘇州火車駅で2号線に交わるのですが、そこからさらに一つ南に行ったところです。
ここからは蘇州古城の中に入ります。
ここからしばらくの間、地下鉄4号線は蘇州古城のメイン道路である人民路の下を走っています。
北寺搭という駅は、北寺搭という観光地の真ん前にあります。
僕が2015年に蘇州に住み始めた頃は1号線と2号線しかなかったわけですが、蘇州の主な観光地の中には地下鉄1・2号線で行けるところと行けないところがあります。
その「地下鉄1・2号線では行けない観光地」のうちのかなり多くが、地下鉄4号線の開通によって手軽に行けるようになったので、4号線の開通は僕にとってかなり嬉しい出来事でした。
中でも北寺搭に行けるようになったことは、ありがたいです。
4号線の工事中は北寺搭周辺の道路が閉鎖になったので、北寺搭は「地下鉄では行けない所」どころか、「どんな手段でも行けない所」だったのです。
北寺搭は正式には報恩寺というお寺の中にある万歳搭という搭です。
報恩寺は三国時代(220〜280年)に、呉の孫権が母の恩に報いるべく建てた母の為の家が元になっているのだそうです。
万歳搭は南北朝の遼の時代(502〜621年)に建設され、南宋の時代(1127〜1279年)に修復されたそうです。
北寺搭という通称は言うまでもなく、蘇州古城の北の方にそびえ立っていることから付けられたのでしょう。
蘇州古城は長い間、古城内でもっとも高い建物でした。
現在でも古城中心部は高層建築物の建築が禁止されているので、結構遠くからでも目立ちます。
この遠くからでも良く見えるという性質を利用したのが、拙政園の「借景」です。
これは拙政園で撮った写真ですが、中央にある池の向こうに遠くに北寺搭があるのが見えますでしょうか?
拙政園はとても美しい風景の庭園ですが、その設計においては北寺搭がちょうどきれいに見えるように考えて作ってあり、庭園の美しさの構成要素として北寺搭がうまく活かされているわけです。
報恩寺と言えば有名なのは塔だけなのですが、せっかくなので搭以外の写真も何枚か載せておきますね。
報恩寺のそばには蘇州刺繍博物館という入場無料の施設があります。
法恩寺と蘇州刺繍博物館を除くと、人民路に並ぶ建物はだいたいこんな雰囲気に揃っています。
夕方になってしまい、光の加減でちょっとわかりにくい写真になってしまいましたが、この辺りの建物はみんな新しいにもかかわらず、白・黒・茶色を基調とした古風なデザインになっているのです。
地下鉄4号線の工事の際にこの辺りは通行止めになりましたが、その機会に全ての建物を立て直し、古都にふさわしい雰囲気に統一したのだろうと思います。
◆第38回 孫武記念園
◆第40回 三元坊
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