今回は中国語担当で東北地方・吉林省出身の劉 せいせい講師と最南端に近い海南省出身の張雅講師に、中国の生活習慣が北と南ではどのように異なるかなどを語り合っていただきました。
Q:出身地の気候について紹介してください。
劉:私は吉林省長春の出身ですが、ここは亜寒帯大陸性モンスーン気候に属し、冬は寒さが大変厳しい一方で夏は結構暑くなるのが特徴です。過去には最低気温がマイナス40度近くまで下がった記録があり、1月の平均最低気温はマイナス20度程度で、一方7月の平均最高気温は28度程度と聞いていますので、温度差はかなり大きいといえます。
張:私は海南省海口の出身ですが、ここは熱帯海洋性モンスーン気候に属し、年中温暖であるといえます。ちなみに1月の平均最低気温は13度程度、7月の平均最高気温は32度程度であると聞いています。
Q:そのような気候ではどのような服装で過ごし、冷房・暖房はどのようになっていますか?
劉:長春の冬は寒さが厳しいので、フードのついたダウンコートやダウンジャンパーだけでなく、防寒ブーツ、マフラー、手袋などは必需品です。夏は結構暑くなるのですが、夏の時期はあっという間に過ぎてしまい、すぐに長い冬がやってくるので、夏の衣装は少なくてすみます。中国の東北地方などでは各家庭の部屋に温水配管が施設されており、地域全体の温水集中暖房システムが整っているので、家の中はとても温かく寒さを感じることはありません。ですから、東北地方で生活している人は寒さに弱い人が多く、日本で生活すると日本人の方が寒さに強いように思われます。
張:海南島では冬でも春のような過ごしやすい日が多いのですが、時々コートが必要になるような冷え込みになることはあります。それでもダウンコートが必要なほどではなく、街でもほとんど見かけません。また、冬でも暖房設備はほとんど使用せず、3月の天気のよい日には半袖でも過ごせるほどの陽気になります。ですから、もう4月になると海水浴ができるようになり、一年の大半が海水浴シーズンとなります。
Q:それでは料理の特徴を教えてください。
劉:中国東北地方は冷涼で乾燥しているため小麦作に適しており、餃子や饅頭(中に具の入っていない中華まん)、包子(中に具の入っている中華まん)などの小麦製品が主食となります。東北地方の料理の味付けは塩辛く、脂濃く、濃い味付けが特徴ですが、やはりこれも寒さが厳しい気候の影響が強いと思われます。
張:中国南部は温暖湿潤で稲作に適しているので、ご飯やちまき、お餅などの米類が主食となります。南方の料理は甘くてあっさりした薄味が特徴です。皆さんも東北地方の料理と広東料理などを食べ比べて見ると、その違いがよくわかるのではないかと思います。
Q:中国の飲み物を代表するお茶の文化は?
劉:中国でも黄河以北はほとんどお茶の生産をしていませんので、お茶の文化も発達していません。中国東北地方の人は緑茶以外にジャスミン茶などを飲む人はいますが、烏龍茶を独特の作法で飲むという文化はなく、お茶をゆっくり味わう茶館などの店もあまり多くはありません。
張:中国南部はお茶の生産地であり、広東省、福建省、四川省などの地域では茶館が街の至る所にあり、独特なお茶の文化が成立しています。私の育った海南島にも「老婆茶」という独特な伝統的な文化があります。道端に置かれたテーブルと椅子の周りに多くの人が集まり、昼間からお茶と御菓子を飲んだり食べたりしながら時間を過ごすのです。
Q:家庭生活ではいかがでしょうか?
劉:中国北部の男性は南部の人と比較すると家事の手伝いをしないで、亭主関白のようにふるまう人が多いという傾向が見られます。なぜなら、男性が家事をしたりすることは格好の悪いこと、男らしくないことと考える人が多いからです。そのほか、北部ではもともと農業などで生活する人が多かったこともあり、商売を上手に成功させたり世渡り上手の人が少ないということもいえるでしょう。
張:中国南部の男性特に上海周辺などでは、家事を積極的に手伝う人が多いと聞いていますし、南部では北部と比較すると奥さんが主導権を握っている家庭が多いと言われています。また、上海は経済が発展して商業も盛んですから、やりくり上手で商売のセンスが良い人が多い傾向にあるのではないかと思います。ただ、海南島の男性はあまり働かない人が多く、一方で女性は勤勉であるので男性が家事を手伝うこともあまりないという特徴があります。
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