「すらすら読める方丈記」
中野孝次。
鴨長明「方丈記」
日本の三大随筆の一つ。
平安末期から鎌倉初期の様子を書かれたもの。
日本の初めての災害文学とも言われています。
古典に疎い私は読むこともできないので、現代語に訳してくださってるすらすら読める!?(笑)本で読ませていただきました。
約1000年もの大昔に書かれたものなのに、なぜだか心に響くこと多くて、同時にこんなに長い間ずっと引き継がれてきたことの理由が少しばかり分かったような気がしました。
「ゆく川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え。かつむすびて久しくとどまりたるためしなし」
流れるような名文。方丈記の有名な書き出しですね。
鴨長明さんが58歳の時に書かれたそう。
自分と同世代の年齢でございます!
いやはやまたもやなんということでしょうー!
京都の都では長明さんが23歳から31歳の10年未満の間に、
●大火災(町中焼き尽くすようなもの)
●竜巻(同上)
●遷都
●大飢饉
●大地震
●疫病
などなどがひっきりなしに振りかかった凄まじい時代だったようで。
鎌倉時代への世直しの時代につながることがわかりました。
現在の日本では人生でこれらの中の一つだけの経験でも大変な苦労であるというのに。
一つ一つの状況を、冷静で詳細な描写、記録により、地獄絵のような凄まじい光景が伝わってきて、この世の終わりのようなさんさんたる時代であったことを想像することができます。
全てがあっという間に廃墟になる夢と消える世にあって、どのように生きられたのか。
災害に見舞われ続けた人生に加えて、京都の下鴨神社の跡取り息子だったのが、父親の急死によって、親族から離縁され転落人生となる。
和歌や音楽に才能のあった長明は、時の天皇に認められ神社のポストに返り咲くチャンスがあったのに?反対する親族もありはしたが、結局は自ら断ります。
そして50歳の頃、方丈庵(4畳半の移動できる住まい)を自ら建て、災害があればいつでも身一つで移動できるように、愚かな人間との関わりからの惑わされることもないようにとの意図により、山の中で好きな琵琶を奏でて好きな和歌を詠み平穏で楽しい幸せな日々を、1人で衣食住をまかないながら64年の人生を全うされました。
長明さんの幸福への価値観が何かしら共感を呼ぶのもあり、普遍的な内容と、無駄のないすっきりした読みやすさや、淡々と綴られた実録等が参考文献として必要とされこんなに長い時代を超えて文学として愛されてきたのでしょうか。
この凄まじいまでの生き抜いていく人間力、自活力!にただただため息まじるばかりでした。
お金という便利なツールにあやかり、日常のほとんど全てと言ってもいいくらい地球上の世界の人々の力で生かされている自分は、一体何ができるのだろうか・・と考えさせられました。
農業も漁業も狩りも大工も裁縫も生きる基本になるもの何一つできません。しかもとどめは、近代文明の基本である機械にも弱く。汗
体が健やかであるように努力して、何かしらでも世の中で働いて、お料理くらいは少しばかりは手作りして、住処を少しばかりは片ずけてお掃除して・・とせめても感謝して暮らしていきたいものだ…とありきたりの感想でございます??♀?
最近Kindleで読書することが増えました。
重たい本を持ち歩かなくてよく、どこでも読める手軽さが良いですね(^^)