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| | 中国・吉林省長春市。
10年前の夏、作者が乗っていたタクシーが不意に大通りをそれた。
渋滞を避けて裏道の小さな通りを進むと、黄土色の古びた建物が立ち並んでいて、
人々のにぎわいがあった。
ここはかつての満州国の首都、新京の日本人街跡だった。
戦後日本人が去り、主に山東省から長春市に入ってきた人たちの街になった。
しかし作者が訪れたそのころには、もうすでに取り壊しのカウントダウンに入っていた。
戦後ずっと住み続けた彼らは「私はこの家で生まれ、育った」と胸を張って言った。
建物も人も自然の摂理のように、新たなものへと代わっていく。
それらが繰り返され、土地の歴史が作られていく。それは仕方のないことだ。
それでも作者は失われゆくこの街に、身体を置き、
往時の日本人たちに思いをはせ、住民たちと同じ時間を共有したかった。
そうすれば、自分の存在を確認することができた。
逆にそうしなければ自分の心は、スカスカだった。
街が壊されていったある日、作者は蓮の花を持った男を見かけ追いかけた。
交差点で立ち止まったので、花のにおいを嗅ごうと、のぞき込んだ。
しかしそれは造花だった。
カラー写真約50点を展示。 |
主催者 | | 筋野健太 |
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