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  三国志(166) 兵糧 みぎ ひだり     
2023-05-17 01:53:45


 ここに、袁紹の軍のうちに、許攸という一将校がいた。年はもう相当な年配だが、掘子軍の一組頭だったり、平常は中隊長格ぐらいで、戦功もあがらず、不遇なほうであった。
 この許攸が、不遇な原因は、ほかにもあった。
 彼は曹操と同郷の生れだから、あまり重用すると、危険だとみられていたのである。
 酒を飲んだ時か何かの折に、彼自身の口から、
 「おれは、子供の頃から、曹操とはよく知っている。いったい、あの男は、郷里にいた時分は、毎日、女を射当てに、狩猟には出る、衣装を誇って、村の酒屋は飲みつぶして歩くといったふうで、まあ、不良少年の大将みたいなものだったのさ。おれもまた、その手下でね、ずいぶん乱暴をしたものだ」
 などと、自慢半分にしゃべったことが祟りとなって、つねに部内から白眼視されていた。
 ところが、その許攸が、偶然、一つの功を拾った。
 偵察に出て、小隊と共に、遠く歩いているうち、うさん臭い男を一名捕まえたのである。
 拷問してみると、計らずも大ものであった。
 さきに曹操から都の荀へあてて書簡を出していたが、以後、いまもって、荀?から吉報もなし、兵糧も送られてこないので、全軍餓死に迫る――の急を報じて、彼の迅速な手配を求めている重要な書簡を襟に縫いこんでいたのである。
 「折入ってお願いがあります。わたくしに騎馬五千の引率をおゆるし下さい」
 許攸は、ここぞ日頃の疑いをはらし、また自分の不遇から脱する機会と、直接、袁紹を拝してそう熱願した。
 もちろん証拠の一書も見せ、生擒った密使の口書きもつぶさに示しての上である。
 「どうする。五千の兵を汝に持たせたら」
 「間道の難所をこえ、敵の中核たる許都の府へ、一気に攻め入ります」
 「ばかな。そんなことが易々として成就するものなら、わしをはじめ上将一同、かく辛労はせん」
 「いや、かならず成就してお見せします。なんとなれば、荀?が急に兵糧を送れないのは、その兵糧の守備として、同時に大部隊をつけなければならないからです。しかし、早晩その運輸は実行しなければ、曹操をはじめとして、前線の将士は飢餓に瀕しましょう。――わたくしが思うには、もうその輸送大部隊は、都を出ている気がします。さすれば、洛内の手薄たることや必せりでありましょう」
「そちは上将の智を軽んじおるな。左様なことは、誰でも考えるが、一を知って二を知らぬものだ。――もしこの書簡が偽状であったらどうするか」
「断じて、偽筆ではありません。わたくしは曹操の筆蹟は、若い時から見ているので」

 彼の熱意は容易に聞き届けられなかったが、さりとて、思いとどまる気色もなく、なお懇願をつづけていた。 袁紹は途中で席を立ってしまった。審配から使いがきたからである。するとその間に、侍臣がそっと彼に耳打ちした。
 「許攸の言はめったにお用いになってはいけません。下将の分際で、嘆願に出るなど、僭越の沙汰です。のみならず、あの男は、冀州にいた頃も、常に行いがよろしくなく、百姓をおどして、年貢の賄賂をせしめたり、金銀を借りては酒色に惑溺したり、鼻つまみに忌まれているような男ですから」
 「……ふム、ふム。わかっとる、わかっとる」
 袁紹は二度目に出てくると、穢いものを見るような眼で、許攸を見やって、
 「まだいたのか、退がれ。いつまでおっても同じことじゃ」と、叱りとばした。
 許攸は、むっとした面持で、外へ出て行った。そしてひとり憤懣の余り、剣を抜いて、自分の首を自分の手で刎ねようとしたが、
 「豎子、われを用いず。いまに後悔するから見ていろ。――そうだ、見せてやろう、おれが自刃する理由は何もない」
 急に、思い直すと、彼はこそこそと塹壕のうちにかくれた。そしてその夜、わずか五、六人の手兵とともに、暗にまぎれて、官渡の浅瀬を渡り、一散に敵の陣地へ駈けこんで行った。槍の先に何やら白い布をくくりつけ、それを振りながらまっしぐらに駈けてくる敵将を見、曹操の兵は、
 「待てっ、何者だ」と、たちまち捕えて、姓名や目的を詰問した。
 「わしは、曹丞相の旧友だ。南陽の許攸といえば、きっと覚えておられる。一大事を告げにきたのだからすぐ取次いでくれい」
 その時曹操は本陣の内で、衣を解きかけてくつろごうとしていたが、取次の部将からその事を聞いて、
 「なに、許攸が?」と、意外な顔して、すぐ通してみろといった。
 ふたりは轅門のそばで会った。少年時代の面影はどっちにもある。おお君か――となつかしげに、曹操が肩をたたくと、許攸は地に伏して拝礼した。
 「儀礼はやめ給え。君と予とは、幼年からの友、官爵の高下をもって相見るなど、水くさいじゃないか」
 曹操は、手をとって起した。許攸はいよいよ慙愧して、
 「僕は半生を過まった。主を見るの明なく、袁紹ごときに身をかがめ、忠言もかえって彼の耳に逆らい、今日、追われて故友の陣へ降を乞うなど……なんとも面目ないが、丞相、どうか僕を憐れんで、この馬骨を用いて下さらんか」
 「君の性質はもとよりよく知っている。無事に相見ただけでもうれしい心地がするのに、さらに、予に力を貸さんとあれば、なんで否む理由があろう。歓んで君の言を聞こう。……まず、袁紹を破る計があるなら予のために告げたまえ」
 「実は、自分が袁紹にすすめたのは、今、軽騎の精兵五千をひっさげて、間道の嶮をしのび越え、ふいに許都を襲い、前後から官渡の陣を攻めようということでござった。――ところが、袁紹は用いてくれないのみか、下将の分際で僭越なりと、それがしを辛く退けてしまった」

 曹操はおどろいて、   
 「もし袁紹が、君の策を容れたら、予の陣地は七花八裂となるところだった。ああ危うい哉。――して、君は今、この陣へ来て、逆に彼を破るとしたら、どう計を立てるか」
 「その計を立てるまえに、まず伺いたいことがある。いったい丞相のご陣地には今、どれくらいな兵糧のご用意がおありか?」
 「半年の支えはあろう」
 曹操が、即答すると、許攸は面を苦りきらせて、じっと曹操の眼をなじッた。
 「嘘をお云いなさい。せっかく自分が、旧情を新たにして、真実を吐こうと思えば、あなたは却っていつわりをいう。――われを欺こうとする人に真実はいえないじゃありませんか」
 「いや、いまのは戯れだ。正直なところをいえば、三月ほどの用意しかあるまい」
 許攸はまた笑って、
 「むべなる哉。世間の人が、曹操は奸雄で、悪賢い鬼才であるなどと、よく噂にもいうが、なるほど、当らずといえども遠からずだ。あなたはあくまで人を信じられないお方と見える」
 と、舌打ちして嗟嘆すると、ややあわて気味に曹操は彼の耳へいきなり口を寄せ、小声にささやいた。
 「軍の機秘。実は味方に秘しているが、君だからもうほんとのことをいってしまう。実は、すでに涸渇して、今月を支えるだけの兵糧しかないのだ」
 すると許攸は、憤然、彼の口もとから耳を離して、ずばりと刺すようにいった。
 「子どもだましのような嘘はもうおよしなさい。丞相の陣にはもはや一粒の兵糧もないはずです。馬を喰い、草を噛むのは、兵糧とはいえませんぞ」
 「えっ……どうして君は、そこまで知っているのか」
 と、さすがの曹操も顔色を失った。
許攸は、ふところへ手を入れた。
 そして、封のやぶれている書簡を出して、曹操の眼の前へつきだした。
 「これは一体、誰の書いたものでしょう」
 許攸は鼻の上に皮肉な小皺をよせて云った。それは先に曹操から都の荀へ宛てて、兵糧の窮迫を告げ、早速な処置をうながした直筆のものであった。
 「や。どうして予の書簡が、君の手にはいっているのか」
 曹操は仰天してもう嘘は効かないとさとった容子だった。
 許攸は、自分の手で、使いを生け捕ったことなど、つぶさに話して、
 「丞相の軍は小勢で、敵の大軍に対し、しかも兵糧は尽きて、今日にも迫っている場合でしょう。なぜ敵の好む持久戦にひきずられ、自滅を待っておいでになるか、某に分りません」と、いった。
 曹操はすっかり兜をぬいで、速戦即決に出たいにも名策はないし持久を計るには兵糧がない。如何にせば、ここを打開できるだろうかと、辞を低うして訊ねた。
 許攸は初めて、真実をあらわして云った。
 「ここを離るること四十里、烏巣の要害がありましょう。烏巣はすなわち袁紹の軍を養う糧米がたくわえある糧倉の所在地です。ここを守る淳于瓊という男は、酒好きで、部下に統一なく、ふいに衝けば必ず崩れる脆弱な備えであります」
 「――が、その烏巣へ近づくまでどうして敵地を突破できよう」
 「尋常なことでは通れません。まず屈強なお味方をすべて北国勢に仕立て、柵門を通るたびに袁将軍の直属蒋奇の手の者であるが、兵糧の守備に増派され、烏巣へ行くのだと答えれば――夜陰といえども疑わずに通すにちがいありません」


 曹操は彼の言を聞いて、暗夜に光を見たような歓びを現した。
 「そうだ、烏巣を焼討ちすれば袁紹の軍は、七日と持つまい」 彼は直ちに、準備にかかった。
まず河北軍の偽旗をたくさんに作らせた。将士の軍装も馬飾りも幟もことごとく河北風俗にならって彩られ、約五千人の模造軍が編制された。
張遼は、心配した。
 「丞相、もし許攸が、袁紹のまわし者だったら、この五千は、ひとりも生き還れないでしょうが」
 「この五千は、予自身が率いてゆく。なんでわざわざ敵の術中へ墜ちにゆくものか」
 「えっ、丞相ご自身で」
 「案じるな。――許攸が味方へとびこんできたのは、実に、天が曹操に大事を成さしめ給うものだ。もし狐疑逡巡して、この妙機をとり逃したりなどしたら、天は曹操の暗愚を見捨てるであろう」
 果断即決は、実に曹操の持っている天性の特質中でも、大きな長所の一つだった。彼には兵家の将として絶対に必要な「勘」のするどさがあった。他人には容易に帰結の計りがつかない冒険も、彼の鋭敏な「勘」は一瞬にその目的が成るか成らないか、最終の結果をさとるに早いものであった。
 ――が、彼にとって、恐いのは行く先の敵地ではなく、留守中の本陣だった。
 もちろん許攸はあとに残した。態よく陣中にもてなさせておいて、曹洪を留守中の大将にさだめ、賈?、荀攸を助けに添え、夏侯淵、夏侯惇、曹仁、李典などもあとの守りに残して行った。
 そして、彼自身は。五千の偽装兵をしたがえ、張遼、許を先手とし、人は枚をふくみ馬は口を勒し、その日のたそがれ頃から粛々と官渡をはなれて、敵地深く入って行った。 時、建安五年十月の中旬だった。(166話) 

―次週へ続く―

 


 
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