サラリーマン時代に初めて中国出張した際、天安門広場と紫禁城(故宮)を見学した時の感動は忘れられない記憶です。
清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の一生を描いた映画『ラストエンペラー』の中でも紫禁城(故宮)のシーンは圧倒的スケールで随所に登場します。
その後、89年天安門事件を挟んで2度も北京に駐在することになるとは思っていませんでした。その間歴史好きな私は何度も見学したものです。後方に在る景山公園から望む瑠璃色の紫禁城が好きでした。
紫禁城の歴史は、あの元寇で有名なモンゴル帝国(元朝)が築いた都(大都)を明朝が南京から北京へ遷都して呼称を改めたことが始まりとされています。
漢民族の明朝が満州族の清朝に変わり、そして1911年の辛亥革命により中華民国政府が樹立されるに至るまで紫禁城(故宮)は清朝皇宮だったのです。
日中戦争中、この故宮にあった歴史的な絵画・陶磁器・文書・書画の収蔵品は、難を逃れるために北京から上海、南京、重慶、成都など様々なルートで分散されて運び出されました。
そして奇跡的にも強奪、紛失、破壊されることもなく北京に無事に戻る結果となりました。
一方戦後、蒋介石が率いる国民党政府は毛沢東率いる共産党との国共内戦に敗れて台湾へ逃れましたが、瑞宝品の一部は台湾の地へ運ばれました。それらが展示されているのが台北に在る故宮博物院です。
私が80年代90年代に仕事の関係で北京・上海・広州の駐在から中国担当を終えて、台湾担当となり2003年からは台北駐在が始まりましたが、折に付けてこの故宮博物院を見学したものです。
北京の故宮は紫禁城の収蔵品よりも建造物そのものへの印象が深いのですが、それに比較して台湾の収蔵品は保存状態も良い印象を受けたのは、共産党ルートで保存された物よりも第一級品の収蔵品が多いからでしょうか。
さて最近、10月にしては暑い日に故宮博物院付近までランニングしました。ふと思えば私が台北に起業してちょうど3年間が経過しました。
起業以来、未だ故宮博物院を見学していないことにも気付きました。今度、ゆっくりと時間を掛けて見学したい気持ちになりました。ちなみに明日は台湾の国慶節(建国記念日)です。