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  三国志(126) 偽帝の末路     
2022-08-10 00:21:22


 ここに、淮南の袁術は、みずから皇帝と称して、居殿後宮も、すべて帝王の府に擬し、莫大な費用をそれにかけたので、いきおい民に重税を課し、暴政のうえにまた暴政を布くという無理をとらなければ、その維持もできない状態になってしまった。
 当然――、
 民心はそむく、内部はもめる。
 雷薄、陳闌などという大将も、これでは行く末が思いやられると、嵩山へ身をかくしてしまうし、加うるに、近年の水害で、国政はまったく行き詰まってしまった。
 そこで、袁術が、起死回生の一策として、思いついたのが、河北の兄袁紹へ、持て余した帝号と、伝国の玉璽を押しつけて、いよいよ身を守ることだった。
 袁紹には、もとより天下の望みがある。
 それにまた先頃、北平の公孫を亡ぼして、一躍領土は拡大されている。もとより兵糧財貨には富んでいるし、隆々たる勢いの折も折であったから、一も二もなく、「淮南を捨て、河北へ来るならば、如何ようにも、後事を図ってやろう」と、それに答えた。
 そこで。
 袁術は浅慮にも、一切の人馬をとりまとめ、ただ水害に飢えて動けない住民だけを残して、淮南から河北へ移ろうと決めた。

 皇帝の御物、宮門の調度ばかりでも、数百輛の車を要した。後宮の女人をのせた駕車や一族老幼をのせた驢の背だけでも、蜿蜒数里にもわたった。もちろん、それに騎馬徒歩の軍隊もつづき将士の家族から家財まで従ってゆくので、前代未聞の大規模な引っ越しだった。その大列は、蟻の如く根気よく野を進み、山をめぐり河を渡り、悠々晨は霧のまだきに立ち、夕べは落日に停って北へ北へ移動して行った。
 徐州の近くである。
 玄徳の軍は待ちうけていた。
 総勢五万、朱霊、露昭を左右にそなえ、玄徳をまん中に、鶴翼を作って包囲した。
 「小ざかしき蓆織りの匹夫めが」と、袁術の先鋒から大将の紀霊が討って出る。
 張飛、それを見て、
 「待つこと久し」
 とばかり、馬を寄せ、白光閃々、十合ばかり喚き合ったがたちまち、紀霊を一槍に刺し殺し、
 「かくの如くなりたい者は、張飛の前に名のって出よ」
 と、死骸を敵へほうりつけた。
 次々と、袁術の麾下は、討ち減らされていった。そのうえ、乱れ立ったうしろから、一彪の軍馬が、袁術の中軍を猛襲し、兵糧財宝、婦女子など、車ぐるみ奪掠していった。
 白昼の公盗は、まだ戦っているうちに、行われたのである。しかもその盗賊軍は、さきに袁術を見限って嵩山へかくれた旧臣の陳闌、雷薄などの輩だった。
 「おのれ、不忠不義の逆賊めら」
 袁術は怒って、悲鳴をあげる婦女子を助けんものと、自ら槍をもって狂奔していたが、かえりみると、いつか味方の先鋒も潰滅し、二陣も蹴やぶられ、黄昏かけた夕月の下に、累々と数えきれない味方の死骸が見えるばかりだった。
 「すわ。わが身も危うし」と、気がついて、昼夜もわかたず逃げだしたが、途中、強盗山賊の類にはおびやかされるし、強壮な兵は、勝手に散ってしまうしで、ようやく江亭という地まで引揚げて、味方をかぞえてみると、千人にも足らない小勢となっていた。
 しかも、その半分が、肥えふくれた一族の者とか、物の役に立たない老吏や女子供だった。 時は、大暑の六月なのでその困苦はひとかたでなかった。
 炎天に焦りつけられて、
 「もう一歩もあるけぬ」と訴える老人もある――。
 「水がほしい。水をくれいッ」と、絶叫しながら息をひきとってしまう病人や傷負もある。
 落人の人数は、十里行けば十人減り、五十里行けば五十人も減っていった。
 「歩けぬ者はぜひもない。傷負や病人も捨てて行け。まごまごしていれば玄徳の追手に追いつかれよう」
 袁術は一族の老幼や、日頃の部下も惜しげなく捨てて逃げた。
 だが幾日か落ちて行くうち、携えていた兵糧もなくなってしまった。袁術は麦の摺屑を喰って三日もしのんだがもうそれすらなかった。
 餓死するもの数知れぬ有様である。あげくの果て、着ている物まで野盗に襲われてはぎ取られてしまい、よろ這う如く十幾日かを逃げあるいていたが、顧みるといつか自分のそばには、もう甥の袁胤ひとりしか残っていなかった。

 「あれに一軒の農家が見えます。あれまでご辛抱なさいまし」
気息奄々としている袁術の手を肩にかけながら、甥の袁胤は炎天の下を懸命に歩いていた。
二人は餓鬼のごとく、そこの農家の厨まで、這って行った。袁術は大声でさけんだ。
「農夫 農夫、予に水を与えよ。……蜜水はないか」
 すると、そこにいた一人の百姓男が嗤って答えた。
 「なに。水をくれと。血水ならあるが、蜜水などあるものか。馬の尿でものむがいいさ……」
 その冷酷なことばを浴びると袁術は両手をあげてよろよろと立ち上がり、
 「ああ! おれはもう一人の民も持たない国主なのか。一杯の水を恵む者もない身となったか」
 大声で号泣したかと思うと口から血を吐き、朽ち木の仆れるが様に死んでしまった。
「あっ伯父上」 袁胤はすがりついて、声かぎり呼んだが、それきり答えなかった。
 泣く泣く彼は袁術の屍を埋め、ひとり盧江方面へ落ちて行ったが、途中、広陵の徐というものが、彼を捕えたので、その体を調べてみると、意外な物を持っていたのを発見した。
 伝国の玉璽である。
 「どうして、こんな物を所持しているか」 と、拷問にかけて問いただすと、袁術の最期の模様をつまびらかに白状したので、徐?はおどろいて、すぐ曹操に文書をもって報らせ、あわせて、伝国の玉璽をも曹操のところへ送った。
 曹操は、功を賞して徐?を広陵の太守に封じた。
 また一方、玄徳は所期の目的を果たしたので、朱霊、露昭の二大将を都へ返し、曹操から借りてきた五万の兵は、「境を守るために」と称して、そのまま徐州にとどめおいた。

 朱霊、露昭の二将は都へ帰って、その由を曹操に告げると、曹操は、烈火のごとく怒って、
 「予が兵を、予のゆるしを待たず何故、徐州にのこして来たか」
 と、即座にふたりの首を刎ねんとしたが、荀?が諫めていうには、
 「すでに丞相がさきに、玄徳が総大将とおゆるしになったため軍の指揮も当然玄徳に帰していたわけです。ふたりは玄徳の部下として行ったものゆえ彼の威令に従わないわけにゆかなかったでしょう。もうやむを得ません、この上は車冑に謀略をさずけて、玄徳を今のうちに討つあるのみです」
 「実にも」と曹操は、彼の言を容れて、それからはもっぱら玄徳を除く工夫をこらし、ひそかに、書を車冑へ送ってその策をさずけた。(126話)

 

― 次週へ続く―

 

 

 

 


 
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