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 | 中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。
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| 2023-03-07 20:57:48
『顕微鏡下的大明』
馬伯庸原作の明代物。全14話の短編です。主人公の帥家黙は今で言う発達障害で算術の達人。そんな彼が居住地の仁華県に課された過大な税金の存在に気付いてしまったことから、仁華県の属する金安府を揺るがす大騒動へと発展し……という筋で、実際にあった事案に基づいているとのこと。『雍正王朝』『大明王朝』などの昔の反汚職時代劇の系譜を引いてますが、今風のコメディータッチの作品に仕上がっています。早くも『三体』とともに今年のナンバーワン作品の候補です。中国ドラマ、今年は本当に豊作ですね。
『去有風的地方』
『夢華録』に引き続いてのリウ・イーフェイドラマ復帰作第二弾。今回は現代物です。北京の高級ホテルで休む暇なく働きづめの許紅豆が、親友の急死をきっかけに仕事を辞め、二人で行こうと約束していた雲南に長期滞在することに。出だしはハードですが、第2話以降は朝ドラみたい、というか朝ドラ以上にまったりです ... [続きを読む] |
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| 2023-03-01 12:08:53
漢文の語法 (角川ソフィア文庫)の感想巻末の解説にも触れられている通り、語法の解説を読むというよりは膨大な数にのぼる文例を読む本。類書と同様に『史記』や『論語』などが多いが、清朝考証学者による該当する語法の解説や唐律なども含まれている所が独特。文法的には現在の水準、感覚からすると古い所も目立つが、それは他書で補うべきであろう。読了日:02月01日 著者:西田 太一郎,齋藤 希史,田口 一郎
しろがねの葉の感想戦国〜江戸初期にかけての石見銀山を舞台とする。ウメが星人してからの話がメインかと思いきや、彼女が最も輝いていた時期というか、彼女自身が後から振り返って一番戻りたいと思うことになる少女時代が、全体の半分近くを占めている。彼女の回想譚として読めば面白い構成。時代の変化に対応できない喜兵衛の姿も印象的。読了日:02月04日 著者:千早 茜
アジア人物史 第1巻 神話世界と古代帝国の感想アジア各地の神話につ... [続きを読む] |
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| 2023-02-05 16:17:24
『三体』
ネットフリックス版ではなく中国制作版です。中文版の原作準拠なんで文革絡みのエピソードの順番が日本語版原作と違っていたりしますが、ほぼ原作通りの内容です。史強訳の于和偉がミスマッチかと思いきや、意外とガラの悪さがよく出ていますw
『大奥』
よしながふみのコミックのドラマ版です。原作は全く読んでないのですが、1話1話丁寧な作りで俳優さんの演技も素晴らしいです。原作の話を一通りやるということで、今後も期待大です。
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| 2023-02-01 09:59:57
文学は予言する (新潮選書)の感想現実に存在する/した問題を活写することで結果として未来を予言する形となったディストピア小説など、小説の持つ力と魅力を紹介する本なのかと思いきや、(そういう内容も含まれているが、)アマンダ・ゴーマン問題で注目された詩、古典、国内外の翻訳小説の出版事情、翻訳論とそこから発展した言語論等々、話題は多岐に及んでおり、紹介される小説も国内外のもの様々である。各所での主張に頷きつつ、翻訳小説、国内の話題作、古典的な物など、何でもいいから取り敢えず小説が読みたくなってくる。読了日:01月01日 著者:鴻巣 友季子
大塩平八郎の乱-幕府を震撼させた武装蜂起の真相 (中公新書 2730)の感想大塩の与力としての立場と草莽の知識人としての顔、大塩と門人たち、同じ与力の家、頼山陽ら知識人などとの様々な人間関係、大塩の三大功績の実相、大塩が何に憤懣を感じていたのか等々乱の背景を多方面から探り、乱... [続きを読む] |
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| 2023-01-09 12:47:20
『県委大院』
胡歌主演のお役所物。前任者が解任された光明県の県長に胡歌が就任。産業に乏しく問題山積みの状態で、更に不祥事の引責辞任のような形で、彼をサポートしてくれていた県委書記まで異動となり、胡歌が書記に昇格。……という感じで会議の場面がやたら多く、お役所物として辛みのあるリアリティに満ち満ちていますw スケールとしては『人民的名義』と『山海情』『大山的女児』の中間に位置するということになりましょうか。
『少年歌行』
全く客の来ない酒楼を経営する皇子様の蕭瑟のもとに荒くれ者たちが到来。そこへたまたまやって来た雷無桀が荒くれ者たちを追い出しものの店を破壊してしまい、蕭瑟は弁償を求めるが、手持ちの金がないという。そこで金のアテを求めてともに雪月城へ……とベタベタな出だしの武侠物ですが、展開がスピーディーでとにかく面白い! (^_^;) ツッコミ所も多く、2000年代の武侠物を思わせる展開が続きます。... [続きを読む] |
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| 2023-01-01 08:40:17
ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世 (講談社現代新書)の感想初代神聖ローマ皇帝オットー大帝の一代記。カール大帝に比べて地味な印象があり、知名度も劣るが、大帝のイタリア遠征を通じて「ドイツ人」という民族の他者認識が生まれ、それが後に自己認識につながり、また逆に国内の分裂の種となるなど、その事績やはり重要な歴史的意義があるようだ。また当時のドイツ諸侯が相続をめぐって一族内で分裂し、それが複数絡む形で戦乱となるといった動きはどことなく日本中世の戦乱を連想させる。日本中世の比較対象としても面白い素材であるかもしれない。読了日:12月01日 著者:菊池 良生
現代語訳 南海寄帰内法伝: 七世紀インド仏教僧伽の日常生活 (法蔵館文庫 ぎ 1-1)の感想玄奘、法顕と並ぶ中国の留学僧義浄のインド、東南アジア体験記だが、「中国ときたら〜」と今で言う「出羽守」のような言動が目立つ。現地の風習を紹介するというより中... [続きを読む] |
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| 2022-12-01 21:08:18
『天下長河』
久々の本格歴史物です。それも治水という地味なテーマながら、なかなかに見せてきます。舞台は清朝康煕年間、『康熙王朝』と『天下糧倉』を足して二で割ったようなドラマだなと思ったら、中国でもそういう評価がなされている模様w 清朝考証学者の徐乾学と高士奇がメインキャラクターとして出ているので、清朝考証学ドラマとしても期待がかかります。
『卿卿日常』
現在一番人気のコメディ。架空中華世界の九川が舞台。男女平等の気風の国から、とにかく食い意地の張ったヒロインが最有力国の病弱で目立たない六番目の王子の側室となり……という所から話が始まります。ヒロインは面倒くさい宮廷からおさらばしてとっとと実家に帰りたい一心から、あの手この手で夫から嫌われようとしますが…… 話のテンポがいいですし、毎回毎回いろんなネタやら趣向をぶち込んできて飽きさせません。
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| 2022-12-01 09:48:03
平家物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)の感想「現代文の祖」とも評される『平家物語』の片鱗ぐらいは味わいたいと思って手に取ったが、中国の古典シリーズと違い、特に前半部の原文とその翻訳が少なく、肩透かしを食らったような気分。その分各章の要約は充実しているので、全体の内容の把握には便利。時折挿入されるコラムも良い。読了日:11月01日 著者:
台湾で日本人を祀る:鬼(クイ)から神(シン)への現代人類学 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)の感想台湾の廟で祀られる植民地統治時代の軍人など「日本神」に関する論集。彼らの多くが何らかの怪奇原書をきっかけとして神として認知され、神としては格の低い陰神であり、廟の主神ではなく、ギャンブルに霊験を発揮し、中には信仰が廃れつつあるものも存在するなど、そのあり方は日本側の認識とかなり齟齬があるようである。一方で日台友好、観光... [続きを読む] |
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| 2022-11-03 21:57:19
『胡同』
1949年から2019年まで、祖母・娘・孫娘の三世代をヒロインとする三部構成で、百年の物語ならぬ七十年の物語。朝ドラの『カムカムエヴリバティ』の中国版という感じですが、こちらは舞台が北京の胡同から動かない模様。朝ドラでは描かれなかった定点的な地域、住民の描写に期待。また朝ドラには絶対出てこない「江湖幇会」「武林諸幇」という武侠チックなワードも登場 (^_^;;)
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| 2022-11-01 09:49:21
儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間 (講談社学術文庫)の感想シンクレティズム(習合)をキーワードに、東アジアの信仰、儒仏道の三教を切り離さずごちゃ混ぜのままその諸相を解説してみようという試み。天使、天女と翼の話(ただ羽衣伝説は中国にもあったような気がするが)、日本式仏教を日本式カレーに例える例え方、李姓の反乱者の話が面白い。本書では著者の専門の限界もあってか朝鮮半島の状況にほとんど触れられていないのが残念。読了日:10月01日 著者:菊地 章太
中国語とはどのような言語か (東方選書 59)の感想現代中国語の文法書と言語学的解説、研究を兼ねたような書。中国語の歴史的展開を意識する一方で日本語や英語との比較、特に日本語との共通点も多々指摘しているのが特徴だろうか。私個人が中国語を翻訳したり逆に中国語の作文をするうえで何となく違和感や疑問を抱いたようなことが解説されている。またそれによって自然な翻訳、作文を... [続きを読む] |
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